出題範囲は5つに分かれます。毎年、組織再編、会社法、知的財産権に関する出題が占める割合が高いです。中小企業診断士は経営者以上に実務的な知識を身に着けておく必要があります。より専門的な内容に関しては、弁護士の領域になってきます。よって診断士はその橋渡しをするための最低限の実務知識を習得しておくことが肝要です。
経営戦略を決めているのは社長を中心としたトップマネジメント層です。但し、消費者のニーズや市場動向に対応することが需要です。それと自社の強みを活用しないと意味がありません。そして経営戦略の中身は、「誰に」「何を」「どのように」提供するのかという内容で、戦略ドメインと呼ばれています。この戦略ドメインは外部環境の変化に対応して、変化していかなければいけません。
経営戦略はトップの思いつきや他の会社の真似などではなく、きちんとした理論に基づいて出来ています。経営戦略に関しては、長年多くの人が研究と実証を重ね、いくつもの理論が確立されています。こうした理論を戦略策定の工程にまえおめたものとして、経営戦略のプロセス(アンゾフの戦略策定プロセス)があります。
SWOT分析とは、ただ強みや弱み、機会や脅威を挙げるのではなく、クロスSWOT分析という手法を用いて、強みを活かして機会に対応するなどして、戦略を考えます。
SWOT分析により戦略ドメインを決定することが中小企業診断士の一番の武器になります。
強み (Strength) |
弱み (Weekness) |
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機会 (Opportunity) |
1 自社の強みを使って優位に進められる事業はなにか?最大の機会 ( 強みを活かして機会を取り込む) |
3 自社の弱みを改善して機会を取り込むことは出来ないか? (機会を逃さないよう弱みを克服する) |
脅威 (Threat) |
2自社の強みで脅威に打ち勝つ方法はないか?他社には脅威でも自社の強みで脅威を機会に変えられないか? ( 脅威の影響を最小限にする) |
再秋の自体を回避する方法は何か?最大の脅威 ( 最悪の結果を回避) |
競争上の地位にはリーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーがあります。競走上の地位に応じて取扱い商品が決定します。
大きなシェアを持つが業界一位でない企業をチャレンジャーと位置づけすると、戦略の定石はリーター企業との差別化になります。リーダーが持っていないような新しい商品を開発したりして差別化を図り、業界内のシェアを拡大することが最大のテーマになります。
経営資源の量 | 経営資源の質 | 戦略定石 | |
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リーダー | 大 | 高 | ・全方位戦略 ・周辺需要拡大 ・市場のフル・カバレッジ ・非価格対応 ・同質化 |
チャレンジャー | 大 | 低 | リーダー企業との差別化 |
フォロワー | 小 | 低 | リーダーやチャレンジャーの観察模倣戦略 |
ニッチャー | 小 | 高 | ・対象市場の絞り込み ・特定市場内でのミニリーダー戦略 |
大きなシェアを持っているが業界一位でない企業をチャレンジャーと位置づけすると、戦略の定石はリーダー企業との差別化で業界内のシェアを拡大する事が最大のテーマになります。リーダーが持っていないような新しい商品を開発したりして差別化を図る必要があります。
競合企業がいてその競争環境の中でどのような戦略をとるべきかを理解しておく必要があり、これを競争戦略といいます。
技術力などの独自性があれば差別化戦略、低コストに優位性があればコストリーダーシップ戦略をとることになります。そして特定のセグメントをターゲットとする集中戦略とあわせて、企業の競争戦略はこの3つの基本戦略のいずれかに該当すると結論づけています。
戦略上の優位性 | |||
戦略上の標的市場 | 全産業 | 独自性 | コスト重視 |
差別化戦略 | コストリーダーシップ戦略 | ||
特定のセグメント | 集中戦略 | ||
差別化集中 | コスト集中 |
他社よりも低コストであることで勝ちに行く戦略です。低コストを実現するために、事業規模を拡大し(そのためには初期に大規模投資が必要です)、迅速にシェアを拡大出来るような低価格(ペネトレーション価格)を設定して、大きなシェアをとることで、「規模の経済」と「経験曲線効果」で、さらなる低コストを実現するという好循環を生み出すのがポイントですこの好循環で高い利益率を実現しようとするのです。
顧客が重要視する(低価格以外の)要素で競合に対して差別化する戦略です。他社よりも高い付加価値を提供し、その分高い(プレミアム)価格を実現しようとします。差別化の方向としてはブランド、技術、デザイン、顧客サービス、販売チャネルなど、さまざまなものがあります。顧客が高い価格を払ってもよいと思うかがポイントです。提供側が高付加価値だと自己満足していても、顧客が価値を評価してくれなければ差別化戦略ではありません。
特定の顧客、特定の地域、特定の分野など限られた領域に企業の資源を集中する戦略です。前述のコストリーダーシップや差別化戦略は対象を広くとるのですが、集中戦略は特定のターゲットに絞り込むことで効率・効果を高めその分やでのコスト優立性や、差別化を図ろうとします。
自社の優位性を知るためにはバリューチェーン分析というのがあります。企業活動全体を、製造やマーケティング、人事・労務管理など5つの主活動と4つの支援活動に分けて、付加価値を生み出す源泉がどこにあるかを特定する方法で内部環境の分析ツールです。
事業部制そしきは扱う商品や対象地域ごとに部門を設ける組織体制で、組織には5つの原則があります。
それぞれの商品分野における競合状況は激しくなっており、顧客のニーズも多様化してきています。そのような状況に対応していくには、迅速な意思決定で顧客ニーズに合った商品づくりを行っていく必要があります。事業部毎に意志決定を行うことで、社長の決裁を待ってから行動するというような時間のロスをなくすことが出来ます。
デモグラフィック変数の例 | サイコグラフィック変数の例 |
30代 独員男性 会社員 | 仕事帰りに健康的でリーズナブルな食事をとりたい人 ・30代男性 ・20代女性 ・50代男性 |
地理的変数 | 国、都道府県、人口規模など |
デモグラフィック変数 | 年齢、性別、家族構成、所得、職業など |
サイコグラフィック変数 | ライフスタイル、生活価値観、興味など |
行動変数 | 消費者が製品から受けるベネフィット(特典)、購買者のロイヤルティ(継続購入する忠誠心)など |
市場を細分化する手法の他に、市場全体をターゲットとするマーケティングも存在します。それを無差別型マーケティング(マス・マーケティング)と呼びます。市場の成長期にリーダー企業が大量販売することなどが相当します。高度経済成長期には有効でしたが消費者のニーズが多角化する現代の日本では対応しきれないことも考えられます。
マス・マーケティングに対して、細分化された市場のそれぞれをターゲットとするものを差別型マーケティングと呼びます。さらに細分化された市場の1つだけに特化するものを集中型マーケティングといいます。
→差別型マーケティング・集中型マーケティング
消費者は、その認知する製品サービスの価値と、価格が一致してはじめて購入してくれます。価格を決める前には、費用とマージンから最低限いくらで売らなくては利益がでないかという費用面から見た価格も考える必要があります。必要であればコストダウンも考えましょう。
消費者にとっての付加価値からみた価格は、製品・サービスの機能的な付加価値だけではなく、イメージやデザイン・サービスのよさなど、様々な付加価値を反映させることも可能です。大事な事は、企業側が独りよがりに考える付加価値ではなく、消費者が「よい」と評価してくれる付加価値でなければその分のプレミアム(高い値段)を払ってくれないことです。例えば、自社と同じ機能を高価格で売っている競合がいて、そこが自社の倍以上も売れていたとします。調べてみると、競合はそのソフトの研修が充実していて、顧客はそのサービス部分を非常に重要視していたというのはよくある話です。このように顧客への付加価値と競合の価格状況は両方見る必要があります。価格に敏感な顧客層である、規模を大きくすれば費用が下がりやすい業界であれば、競合よりもぐっと低めにしてシェアを取りにいったり、逆であれば高めに設定したりします。
チャネル・流通戦略では社外のプレイヤー(卸や小売りなど)に働きかけて、極力こちらの思いに沿った形で販売してもらわなくていけないので、マーケティングミックスの中でも特にコントロールが難しく、一旦構築すると変更が難しいので慎重に設計する必要があります。
3段階チャネル | 酒や食料品の流通は伝統的に3段階以上の流通プロセスを経ることで広くあまねく全国に流通させてきた。これは末端の小売店が独立系で規模が小さかったためである。流通産業研究所の調査では、必ずしも3段階チャネルの業界が、2段階チェネルの業界よりもマージン率が高いわけではない(高コストではない)という結果が報告されている。 |
2段階チャネル | スーパーなどに納入する食品メーカーはこの卸を使って2段階チャネルにしていることが多い。卸売業者は単に商品を流すだけでなく、棚割提案、顧客情報の集約管理などの付加価値をつけて生き残りを図っている。 |
1段階チャネル | 大手ディスカウンターなどは、生産者から直接・大量に商品を仕入れることで、大きなコストダウンを図っている。世界最大の小売業者であるウォルマートも、この1段階チャネルと規模の経済効果で劇的な安売りを実現している。ただし、流通在庫情報などを適切に把握しないと大量の在庫コストを抱えたり、機会ロスをまねいたりすることもあることには注意したい。 |
0段階チャネル | インターネットで直接顧客に販売する業者が増えてきたが、確かに販売窓口はインターネット経由でゼロ段階にしているが、物理的流通をそうするかはインターネット通販業者の大きな課題である。物流では既存の物流パートナーを組むケースが多い。 |
ライン・サポート業務の代表的なものに、営業ラインに対して、さまざまなプロモーション(販売促進)を企画・実施することで販売の後押しをするプロモーション戦略室案・実施支援業務があります。めーけティング部門や広告宣伝部門といった専門組織との共同作業になる場合が多いです。貴重な経営資源を最大限に活用するために、次の3点を明確にして立案・実施することが重要となります。