独占禁止法
独占禁止法(正式には「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といいます。)は、その第1条において、以下の目的を規定しています。
独占禁止法は
私的独占(市場の独占)、
不当な取引制限(談合・カルテル)及び
不公正な取引方法、を禁止することにより
公正かつ自由な競争を促進し、一般消費者の利益確保と経済の健全な発達を促進することを目的としています。産業財産権とはじめとする知的財産権は、そもそもその知的財産を権利者が独占的に利用することができる権利でありますが、その法定された権利の範囲を逸脱した場合には、独占禁止法に違反するおそれがあります。
禁止される行為と違反に対する措置
?私的独占
私的独占とは、事業者が、単独で、又は他の事業者と結合して、若しくは通謀し、その他
いかなる方法をもってするかを問わず、他の事業者の事業活動を
排除し、又は
支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう(独占禁止法2条5項)。
例えば、同じ業界の企業同士の合併は、その結果として市場を独占してしまうと、自由競争がなくなり価格上昇や品質・サービスの低下を招くおそれがあるため、この私的独占となるおそれがあります。
?不当な取引制限
不当な取引制限とは、事業者が、
契約、
協定その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と
共同して
対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は
数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する党、相互にその事業活動を拘束し、又は
遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう(独占禁止法2条6項)。
例えば、同じ業界の企業同士は話し合って公共事業の入札価格を決めたり(
入札談合)、価格を高く維持するため販売価格や生産数量について協定(
価格カルテル・数量カルテル)を結んだりすることが、この不当な取引制限に該当します。・
?不公正な取引方法
不公正な取引方法とは、不正な理由がなく、又は不当に行われる同業者又は契約相手に対する以下の行為をいう(独占禁止法2条9項抜粋)。
- ●特定の事業者との取引拒絶(ボイコット)
- ●特定の事業者に対する差別的対価による取引
- ●特定の事業者に対する取引条件の差別的取引
- ●相手方が販売する商品の販売価格の決定等(拘束条件付取引)
- ●不当兼売(不当な低価格販売・ダンピング)
- ●不要なものも併せて購入させる抱合せ販売
- ●取引上の優越的地位の濫用
?知的財産権との関係
独占禁止法の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による
権利の行使と認められる行為には適用されない(独占禁止法21条)。
例えば、特許権者(
ライセンサー)が、その特許発明につき他人(
ライセンシー)のため専用実施権を設定し、又は通常嫉視兼を許諾する(
ライセンスを与える)場合には、その発明を使って製造できる
地域や
期間、発明利用の対価など、その権利の利用条件に関しては双方の合意により自由に定めることができる(解約自由の原則)。
しかしながら、
販売価格や再販売価格など、ライセンシーが行う「販売行為」に関しては、それらの制限や決定をしたり、また、
特許権消滅後の利用まで制限し、又は引き続きライセンス料の支払を求めたりすることは、
不公正な取引方法に該当する可能性があります。
?違反に対する措置
独占禁止法に違反する行為によって
その利益を侵害され、又は
侵害されるおそれがある者は、これにより著しい損害を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、侵害する事業者等に対する差止請求や損害賠償請求をすることができる(独占禁止法24条、25条)。
また、違反事業者等に対しては、
公正取引委員会より排除措置命令や課徴金納付命令が下されるほうは。刑事裁判を経て
刑罰が科せれあれることになります。
不公正な取引方法(公正取引委員会指定)
一般指定(すべての業種に適用) |
特殊指定 |
?共同の取引拒絶 ?その他の取引拒絶 ?差別対価 ?取引条件等の差別取扱い ?事業者団体における差別取扱い等 ?不当兼売 ?不当高価購入 ?ぎまん的顧客誘引 ?不当な利益による顧客誘引 ?抱き合わせ販売等 ?排他条件付取引 ?拘束条件付取引 ?取引の相手方の役員選任への不当干渉 ?競争者に対する取引 ?競争会社に対する内部干渉
|
?新聞
値引き販売の禁止
?物流
荷主による運賃買いたたき行為の禁止
?大規模小売業
納入業者への不当な返品・値引き等を禁止 |
下請法
メーカーには数多くの下請け業者が出入りしており、コストダウンや便宜上の理由からついつい無理をいってしまう場合があるので注意が必要です。
親事業者の義務として、発注の際には書面を交付することや代金の支払い期日を決めること、支払が遅れた時は遅延利息を支払うことなどが定められています。また、返品や買い叩き、報復処置など、
下請け業者にたいする禁止行為も別途定められています。違反すると公正取引委員会から勧告を受けたり、罰金を支払ったりしなければなりません。
下請法
新規事業者の義務
・書面の交付・作成・保存
・代金支払の期日設定
・支払遅延時の利息 など
親事業者の禁止事項
・受け取り拒否
・代金支払の遅延・減額
・返品
・買い叩き
・購入・利用の強制
・報復処置 など
親事業者、下請け事業者の定義
(1)物品の製造・修理委託及び政令で定める情報成果物・役務提供委託を行う場合
親事業者 |
|
下請事業者 |
資本金3億円超 |
→ |
資本金3億円以下 |
資本金1千万円超3億円以下 |
→ |
資本金1千万円以下 |
(2) (1)以外の情報成果物作成・役務提供委託を行う場合場合
親事業者 |
|
下請事業者 |
製本金5千万円超 |
→ |
資本金5千万円以下 |
資本金1千万円超5千万円以下 |
→ |
資本金1千万円以下 |
その他の法律
商品が人体に悪影響を与えるこう場合には、
製造物責任法で損害賠償請求の対象とされます。従来の民放では被害者側が加害者側の過失を立証する必要がありましたが、
製造物責任法では商品の欠陥により損害を被ったことを立証すればよく、より被害者側に立った法律になりました。他に消費者の利益を直接守る法律としては、
消費者保護法というものがあります。
主な消費者保護法
消費者基本法・・・消費者利益の擁護
消費者契約法・・・消費者の不利益を防止
特定商取引法・・・訪問販売、通信販売、他
このページの先頭へ
スポンサーリンク